「早期(局所限局)前立腺癌の治療」の項でリンクされている 小線源療法(ブラキセラピー)の日付は「平成18年5月」、すなわち、2006年5月と記述されている。十年更新されていない。こう書かれている。
前立腺癌の診断がついた時点でリスク分類が低~中リスク群(低リスク群が望ましい)であることがこの治療を受ける上での必要条件となります。PSAやグリソンスコアが高かったり、被膜外、精嚢、膀胱などへの浸潤があったり、リンパ節や骨、もしくは他臓器への転移を認める場合にはこの治療の対象にはなりません。更に以下の注が書かれている。
注:東北大学病院ではリスクの高い方々(中、高リスク群)には強度変調法(IMRT)による外照射療法を行っています。この方法は従来の外照射療法に比べて格段に軽い放射線障害で済みます。従って、東北大の小線源治療は高リスクは対象外である。当然、高リスク限局性前立腺癌を有する患者を対象とするランダム化比較試験TRIP試験には参加していない。
TRIP試験登録病院に書いたとおりだ。
京都大学医学部附属病院 放射線治療科 前立腺がんでは次のように書かれている。
京都大学では前立腺がんに対しての小線源療法は行っていません。東北大は京大のようにまったく小線源治療を行っていないというわけではなく、積極的に高リスクに対して外照射との併用での治療を行っていない状況だと思われる。
もちろん、これは高リスクに対してIMRT治療が良好な成績であることも理由の一つであろう。
「局所浸潤癌の治療」の項では以下のように書かれている。
東北大学では、限局性(局所限局ならびに局所浸潤)癌をリスクに応じて3段階に分類し(表4)、時間をかけて治療方針の相談に応じています。この表4は表4.早期(限局性)前立腺癌のリスク分類のページに記載されている以下のものである。
低リスク群 : PSA≦10 、グリソンスコア≦7(3+4)、病期T1a~c,T2a
中リスク群 : 10<PSA≦20 または グリソンスコア(4+3)または 病期T2b
高リスク群 : PSA>20 または グリソンスコア≧8 または 病期T2c~T3
前立腺癌のリスク分類で示されるD'Amico のリスク分類、NCCNリスク分類と微妙に異なる独特なものだ。
ちなみにこの分類によると私は以下の数値なので、低リスク群である。
PSA:8.22
グリーソンスコア:3+4
病期:T2aN0M0
IMRTのPSA非再発率で紹介した東北大の武田賢氏の論文 1) をこれを機会に再度読んでみた。 5年PSA非再発率は以下のとおりである。
中間リスク 100% (36人)
高リスク 82.2%(105人)
N1 の患者は除外されている。更に次のように書かれている。
骨盤リンパ節郭清(PLND)は、転移性疾患を除外するために45人の患者(32%)で行いました。これは上記の「局所浸潤癌の治療」に以下のように書かれている。
約6ヶ月-1年間の内分泌療法(後述)を行って前立腺を縮小させた上で前立腺に放射線を照射しています。この間に小切開骨盤内リンパ節郭清術によってリンパ節転移の有無も調べます。
いずれにしろ、武田氏の論文はリンパ節郭清によりN1の患者が除外されたものなので、高リスクのPSA非再発率がいい結果となるのも納得ではある。
東北大においては強度変調放射線療法(IMRT)のご案内に「予め金マーカーという目印を前立腺内に入れておき」と書かれているように金マーカーを事前に埋め込む。そうして場合によってはリンパ節郭清も行う。
論文の表題も"Treatment outcome of high-dose image-guided intensity-modulated radiotherapy using intra-prostate fiducial markers for localized prostate cancer at a single institute in Japan." ということで基準マーカーを使用するということで、full text をみると3つの金マーカーを使用と書かれている。
1) Radiat Oncol. 2012 Jul 6;7:105 full text
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