後藤氏の研究を紹介した本、『「抗がん剤は効かない」の罪 ミリオンセラー近藤本への科学的反論』毎日新聞社を書いた日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科 勝俣 範之 氏はAKIBA Cancer Forum 2014 で医学情報の信頼性のレベルに関して分りやすく説明している。
講演はD-9 がん治療の真実 勝俣 範之で公開されている。関連する部分を以下に示していく。
上記の本のP.170 表4-3に医学情報に関して信頼度の高い順番に以下のように記されている。
1 優れた医学論文(ランダム化比較試験の結果)これはビデオで医学情報の信頼度と題されて説明されている。
2 診療ガイドライン
3 一般医学論文
4 学会発表記事
5 新聞記事、雑誌の記事、権威者の意見、体験談、インターネットの情報
患者としてはこのレベル分けで十分といえるが、勝俣氏は「専門的にいうとこんな感じになる」いい、エビデンス・ガイドラインはどうやってつくられるのか?と題して説明している。
エビデンスレベル(情報のランク付け)は以下のとおりである。
I ランダム化比較試験の統合解析更にランダム化比較試験(RCT)を分かりやすく説明している。
患者数の多いランダム化比較試験(第三相試験)
II 患者数の少ないランダム化比較試験(第三相試験)
III 第二相試験(比較のない臨床試験)
IV 症例報告のまとめ
V 症例報告、臨床経験、体験談、基礎研究(動物実験を含む)
エビデンスレベルの練習問題があげられている。
エビデンスレベルとガイドライン:日経メディカルで紹介されている『診療ガイドライン作成の手引き2007』(リンクは今はきれている)では以下のように書かれている。
エビデンスレベルの分類例編集:福井 次矢/吉田 雅博/山口 直人『診療ガイドライン作成の手引き2007』医学書院のP.15に書かれている。
1)治療に関する論文のエビデンスレベルの分類(質の高いもの順)
I システマティック・レビュー/randomized controlled trial(RCT)のメタアナリシス
II 1つ以上のランダム化比較試験による
III 非ランダム化比較試験による
IVa 分析疫学的研究(コホート研究)
IVb 分析疫学的研究(症例対照研究、横断研究)
V 記述研究(症例報告やケースシリーズ)
VI 患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見
NPO法人宮崎がん患者共同勉強会 代表理事 であり、腫瘍内科医であるShoさんのblog、がん治療の虚実の質問と回答: 個人的に効果があればその治療は有効?に書かれている以下の文は興味深い。
「医療者と患者さん側でなかなか意見が一致しない、あるいは相互理解できない理由はがん治療を考える上で、この周囲人脈の助言の中にはインターネットにより収集した情報(レベル5)、ネットで受けた助言が含まれるのかもしれない。
・医療者はエビデンスという集団データを背景に、
・患者さん側は個人経験と周囲人脈の助言を背景に、
思考していることをお互い意識できていないからです。
患者さんにとっての本当の興味は自分のがんの縮小、がん症状改善であり、隣の患者さんの治療成功ではありません。
参考
・Minds 診療ガイドライン作成の手引き2014
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