橋本治『百人一首がよくわかる』

橋本治『百人一首がよくわかる』講談社をさらさらと読む。和歌にそう関心があるほうではないが、何となく橋本治の現代語訳を読んでみようと思ったしだいだ。
ちょっとその訳は面白かったが、やはり、和歌の技巧にはついていけない。
一等いいなと思ったのは蝉丸の歌。
これやこの 行くも帰るも 別れては
     知るも知らぬも 逢坂(あふさか)の関
このたたみかけるリズムがなんともいえずいい。風景描写でもなく、恋愛模様でもないのがいい。

後、なんとなくいいなと思ったのはシンプルな歌、描写が美しい以下の二つ。
左京大夫顕輔
秋風に たなびく雲の 絶え間より
   もれ出づる月の 影のさやけさ
そうして、寂蓮法師。
村雨(むらさめ)の 露もまだひぬ 槇(まき)の葉に
   霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
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