IMRTなどの体の外から放射線をあてる治療方法については、小線源療法や手術に比べ、体への負担は一番少なく優れた治療法だと思ったが、 前立腺がんにピンポイントで放射線を当てようとしても、どうしても周囲の臓器に放射線が当たってしまい、後遺症がでると 東京医療センター発行の小線源療法の説明書P.3に書かれていたので諦めた。リンクされている「前立腺癌に対するヨウ素(I-125)シード線源 を用いた小線源療法の説明」は(第十版)であり、現在は国立病院機構 東京医療センター 公式サイト - 泌尿器科からリンクされているのは第14版である。いずれも該当の箇所は同じで次のように書かれている。
前立腺は腸管の動きや膀胱内の尿量によって刻々と位置が変化し、1〜2 ㎝移動すると言われています。外照射療法の場合には、照射位置を決定するとそこへ照射を繰り返しますので、照射野が前立腺から少しずれる可能性があります。最近、副作用を減らす目的で照射野をなるべく狭くして、前立腺に限局して照射が行え るような技術も発達してきました。しかし、照射野を絞れば絞るほど、照射野が 前立腺からはずれる可能性が高くなります。小線源療法の場合には線源が前立腺内にあるため、一定の照射が行われます。ここで注目すべきなのは「1〜2 ㎝移動すると言われています」という文である。前立腺が動くから外照射は不正確?で紹介した「治療効果が高く体への負担も少ない小線源治療とは」 斉藤史郎氏 (国立病院機構東京医療センター 泌尿器科の動画で言及している北海道大学のKitamura氏の2002年の論文 1) をみてみる。
"movement was 0.1-2.7 mm in the supine and 0.4-24 mm in the prone positions"と書かれている。
すなわち移動は伏臥位で0.1〜2.7ミリメートル、腹臥位で0.4〜24ミリメートルということなので、俯せの場合が移動が多いということである。その場合も1〜2 ㎝ ということはなく、1〜2 ㎝ 移動というのはどちらかというと最大に動いた場合のことだろう。
間違ってはいないが、そのような記述を少なくとも小林利和さんが閲覧した2010年から記述し現在に至るまで変更していないのは、外照射が前立腺が移動するから照射が不正確ということで外照射が劣った治療法であるということを延々と継続しているといえる。その記述を読み、外照射を治療の対象としなかった人もいたということになる。
「前立腺が動くから外照射は不正確」のルーツで藤野氏の著作のルーツを滋賀医科大とほぼ断定したが、「IMRTでも80Gy以下の放射線しか当てることができない」までを含めたらそうであることは間違いないと思うが、「前立腺が動くから外照射は不正確」ということで小線源治療が優れているという論のルーツは東京医療センターである。
なお、小林さんは「前立腺がんに関する情報収集」で藤野氏の『前立腺ガン 最善医療のすすめ』の前の著作、『前立腺ガン治療革命』について次のように書いている。
最近(2010年)に出版された本を見ると、初期の前立腺がんには 「小線源療法」が最適と書かれており、 良い時に前立腺がんになったと実感する。1) Kitamura K, et al Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2002 Aug 1;53(5):1117-23.
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