まず、第一の不満は「がんサポート」の編集部が東京医療センターの放射線科 医長の萬篤憲氏のところに話をききにいったかということだ。
私は私の前立腺がん chronicleに書いているようにこの記事が紹介する臨床試験に参加している。この臨床試験のことならば責任研究者である昭和大学の放射線治療科 診療科長 教授の加賀美芳和氏に話をきかないのだろうか。
小線源治療を推進する東京医療センターの医師に話をきいたので、結果としてこの寡分割照射に直接は関係ない小線源のことを囲み記事を「ピンポイントを追及する小線源療法」という表題で載せている。最後に以下の文で終わっている。
寡分割照射は照射精度を高めるための機器と技術が命だが、萬氏は「最も狙い撃ちができる、究極のピンポイント療法は小線源です。ほかの臓器を守れます」。同センターの特徴は長期フォローを行っていること。「丁寧にフォローしています。10年以上見ている施設は少ないのでは」まるで、東京医療センターの提灯記事、宣伝のようだ。
といったことを書いていると本題にはいらないので、これ以上はやめる。多分、このようなことをいうのは承知でインタビューの医師を編集部は選択したのだろう。
外照射の通院期間が長いことに対応するために1回の線量をあげて回数を減らす外照射が寡分割照射である。欧州では医療費削減のために広く行われていると書かれている。そうして、IMRTとIGRTの説明をした後、臨床試験の紹介をした後、具体的に参加病院名をあげている。
もちろん、東京医療センターは臨床試験に参加していない。これは寡分割照射を行う技術に不安なのか臨床試験の意義を認めていないのか、それは分からない。
「医師の少ない地方への普及が課題」と題された文、前半部分、長くなるが引用する。
しかし、普及には問題もある。萬さんは指摘する。ここでも藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その6-1で書いたと同じく藤野さんの論、日本では医師や技師らの数が少なく、IMRTを使いこなしている病院はすくないということをいっている。それは一面としては正しいだろうが、私が数えたがん診療連携拠点病院他でのIMRT治療を行っている病院187、すべてが「十分な患者数をこなせず、標準的な治療経験も積むことが難しい」状況とは思えない。
「まずは、技術的な問題です。外照射は患者さんの動きやずれに対しては弱いので、線量が増すと危険度が増加します。医師らがしっかりとした技術を身に付けることが求められます」
大学病院や首都圏の大学病院ではなく、地方の総合病院を見た時、IMRTを導入していないところもまだ多いという。機器を入れても医師や技師らの数が少ないので、IMRTを行うことが許可されなかったり、十分な患者数をこなせず、標準的な治療経験も積むことが難しい。そのような状況で、さらに1回の線量を上げた照射をするとなると、正常組織に当たってしまったときの副作用の面で不安になってしまう。
「現状では、数回の照射を減らすためにそのようなリスクを背負うのはとても勇気のいることです。ただ10年もあれば、変わるだろうとも思っています。学会での話でもそのような話題が出ます」
今回の臨床試験はIMRT/IGRT併用寡分割照射法であるので、照射精度に関しても特に問題なくフォロー終了予定日である2019年12月31日の後、速やかにデータは纏められ、論文として発表されるだろう。
私の場合、2014年11月21日が外照射の最終日なのでちょうど5年となる頃である。
萬氏のいう「そのようなリスクを背負うのはとても勇気のいることです」と書かれているのは全く意味不明である。5年も経つと、機器も技術も日本全国、今よりは底上げされ、その時点でリスクを背負って実施する治療では、多分ないだろう。
少なくとも臨床試験に参加した病院は臨床試験の結果がよければ、寡分割照射を実際の臨床で実施するはずだし、それに続く病院もそれなりの数になるかと思う。
保険点数が寡分割照射で行うことで上がらないのが問題だと萬さんは保険制度上の問題だといっているが、今後、前立腺がん患者が増え、今でも放射線治療開始まで待たなければいけない状況だがその待ちの拡大を減らせるということが照射回数を減らせることでできて、病院側にもメリットがあると思う。(稼働率がよくなる)
萬氏が書いているように「リスクを背負う」といったことはなく特に問題ないと思って臨床試験に参加している病院は20病院あり、現時点で臨床試験参加病院はそれなりの技術を持っている病院だとみなすことができると思う。
藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その7であげた高リスク(TRIP臨床試験定義)の小線源治療可病院の数は27であり、NCCN分類の高リスクを無条件に対応可なのはこの27のサブセットであり、「前立腺癌に対するIMRT/IGRT併用寡分割照射法の第II相臨床試験」に参加している病院の数20というはその高リスクに対しトリモダリティを実行している病院より多分、多いだろう。もちろん、IMRT/IGRT併用の場合、高リスクに対応できないということはない。
トリモダリティ実施病院のほうが多いというならば、上記の「その7」の3月22日に追記した高リスク前立腺がんで、トリモダリティーを積極的に実施している施設 前立腺がんの小線源療法 日本メジフィジックス株式会社が現在の3病院ではなく、少なくとも10病院以上は掲載されていると思われる。
-------- 以下2016/05/19に追記
がん・感染症センター都立駒込病院 - 放射線診療科(治療部) - 前立腺がんの放射線治療のページに以下のように書かれている。
前立腺がんでは、1回に照射する線量を増加させ、総治療期間を短縮する治療戦略の有効性が示唆されています。1回線量の増加により、周囲正常組織の副作用増加が懸念されるため、IMRTとIGRTを利用した治療期間短縮が期待されています。海外では、1回2Gy(総線量74Gy/37回)のスケジュールと1回2.5Gy(総線量70Gy/28回)のスケジュールを比較する臨床試験が実施され、結果が待たれます。日本においても、1回2.5Gy(総線量70Gy/28回)のスケジュールを用いた多施設共同臨床試験が実施され、経過観察中となっています。都立駒込病院もこの日本での臨床試験に参加しており、臨床試験の結果がよければ、寡分割照射を実際の臨床で実施するということを含みで上記のように記載しているのだろう。
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