治療後の副作用に関してはその結果が報告されている。 2)
今回、"Seed migration after transperineal interstitial prostate brachytherapy by using loose seeds: Japanese prostate cancer outcome study of permanent iodine-125 seed implantation (J-POPS) multi-institutional cohort study." と題されたシード線源(以下シードと記載)の移動に関する論文 3) をみつけたので、その概要を紹介するとともに関連することを記述する。
・2160人の患者が対象
小線源単独:1641人
小線源+外照射:519人
・シード移動
小線源単独:22.7%
小線源+外照射:18.1%
・シード移動場所
肺
小線源単独:14.6%
小線源+外照射:11.2%
腹部/骨盤領域
小線源単独:11.1%
小線源+外照射:8.5%
なお、%は患者の数での割合である。
論文によると試験登録番号、NCT00534196が記載されていてそこで確認すると、関連病院として藤田保健衛生大学他計31が記載されている。
1病院ではあるが、東京医科大学の論文 4) によると次の結果である。
57人の患者 3,753 のシード に対して12人の患者の19のシードが動いたとのことで、21% だ。
更にJ-POPSの論文には参考文献としてシードが右冠動脈に到達しその関連で心筋梗塞になった69歳の患者の論文 5) があげられていた。
意外と移動の割合は多く、深刻な事態を引き起こす可能性があるということを知り、改めて、小線源治療を選択しなくてよかったと思った。
掲示板でも肺に到達したという2013年12月12日の投稿、同時期入院していた人が「1本抜けて前立腺近傍の血管にとどまっている」という2013年12月11日の投稿があった。
藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』実業之日本社のP.199にはこう書かれている。
治療後、ごくまれに排尿時にシードが尿といっしょにでてくることがある。これは排尿時のことだけ、「まれ」といっているのだろうか。シードの移動が1割を超えるのが普通ということは本の中で私はみつけることはできなかった。
1) 小線源治療の論文で概要を紹介。
Saito S et al. Int J Clin Oncol. 2015 Apr;20(2):375-85.
2) J-POPS 有害事象で概要を紹介。
Ohashi T et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2015 Sep 1;93(1):141-9.
3) Nakano M et al. Radiat Oncol. 2015 Nov 14;10:228.
4) Odagaki Y et al. Int J Clin Oncol. 2015 Sep 22.
5) Zhu AX et al. Brachytherapy. 2006 Oct-Dec;5(4):262-5.
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