「藤野さんは陽性率に関しては以降、何も書いていない。」と書いたが、P.263に以下のような記述がある。
リスク分類にはPSAとグリソンのほかに、生検で陽性にでた数(陽性率、生検の針がガン細胞にヒットした数)も参考にする必要がある。陽性率が34%を超える患者は、どの治療法をとっても単独の治療法の対象になりにくいので、治療法の併用を考えたほうがいいだろう。このページで陽性率に関して言及しているので、先の「何も書いていない」というのは間違いなので、削除する。ただし、この文はおかしいところがある。
「陽性率が34%を超える患者が治療法の併用を考えたほうがいい」と書かれているが、これは多分、東京医療センターにおける小線源単独治療可か否かの条件のことをいっているだろう。
「治療は低リスクと中間リスクの一部(Gleason Score 3+4の症例のうち陽性コア率34%未満の症例)にはBT単独」 と書かれている東京医療センターの矢木氏の論文がある。 1)
「どの治療法をとっても」と書かれているが、外照射とホルモン療法を併用するのに陽性率が34%とかいう条件はみたことはない。
外照射のホルモン療法との併用に関して、単独の場合と併用との比較をランダム化試験で行った結果を報告した論文 2) によると「併用療法の効果は、主に中間リスクの患者に対してみられ、低リスク患者ではみられなかった。」とのことである。
また、手術とホルモン療法の併用に関しては、「前立腺摘除術の前に(単独または化学療法と併用で)施行されるネオアジュバントホルモン療法は生存期間の延長が示されず、標準的治療法ではありません。」 3) ということだ。
このことを藤野さんは知らなかったのだろうか。
P.262にこう書かれている。
高リスク群AとはPSAが20以上か、グリソンが8以上の患者を指している。P.98とP.99の「高リスク群A PSAが20以上で、グリソンが8以上」とどちらが正しいのだろうか。表に書かれているほうが正しいとしよう。そうすると、また、PSAが30でグリソン7がどこに分類されるか疑問となる。
細かいことは気にしないで執筆しているとしか思えない。誤植にしても大事なリスク分類の条件を間違えることは問題と思う。
1) 矢木他 Japanese Journal of Endourology(2013)26:176-181
2) Jones CU et al. N Engl J Med. 2011 Jul 14;365(2):107-18.
解説記事は中間リスク前立腺癌患者の死亡率減少/NIHから研究助成を受けた試験:NCIプレスリリース
3) 前立腺癌に対するホルモン療法/NCIファクトシート
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