この件に関しては分類表と同じコメントを藤野さんはしている。
Aさんの前立腺ガンはPSAでは低リスクだが、グリソンでは高リスクに分類される。どうも、リスク分類はグリソン、PSA、病期の組み合わせで分類されるということを理解していないのだろうか。
というより理解していて、藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その4に引用したように「TNM分類は複雑すぎて、一般人にはわかりにくいだろうから、本書では悪性度による分類を使用することにしたい。」ということで、意図的に独自の分類を提案していると考えるのが、自然だ。
更に、よく読むと、P.90にPSAとグリソンスコアによる前立腺ガンのリスク分類の表が掲載されている。今まであげた文はこのリスク分類でのことをいっているようだ。たとえば、グリソンでは高リスクに分類されるといったのは以下の分類によるようだ。
PSA
低リスク群 10.0以下
中リスク群 10.0超20.0以下
高リスク群 20.0超
グシソンスコア
低リスク群 6以下
中リスク群 7
高リスク群 8以上
このようなPSAまたはグリソンスコア単独でのリスク分類はみたことがない。その二つを組み合わせて表にすると漏れる部分がでて、それをグリソンでは高リスクを称している。あるいはこの独特なリスク分類を考案し、NCCNリスク分類あるいはD'Amicoのリスク分類を用いないのは標準でない治療法を目安として書いたことは一般人向けに分りやすく書いたという言い訳にするつもりだろうか。
更にいうならば、TNM分類でいう転移の有無を示すN、Mをこの分類では高リスク群Bということで分類表の中にいれている。
少し無理がある。
Aさんの例でいうとリンパ節転移があったので、高リスク群Bである。藤野さんの表では目安となる治療はホルモン療法、のちに化学療法である。
BさんはPSAは22.3でグリーソンスコアは4+3なので表には該当する部分がない。表題にPSAは高リスク、グリソンは中リスクとあり、高リスクの患者の例としてあげられているので、高リスクにはいるのだろう。また、Bさんの場合も骨転移があるので、高リスク群Bに入る。
すなわち、慈恵医大の例は高リスク群Bに分類される患者2名が治療の目安であるホルモン療法を実施しないでHDRトリモダリティを行ったものである。
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