藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その4-1 細部の綻び

藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について書くのも結構長くなったが、まだ本丸には辿りつかない。今回指摘は些細なものもあるが、これもこの本を書くスタイルということで看過することはできない。
P.53に次のように書かれている。
進行の遅い前立腺ガンは、直径1センチの大きさになると急速に増殖するとされる。だがガン細胞の性質によっては進行が早いこともあるので、一概に前立腺ガンは進行が遅いということはできない。
これは明らかにP.108の次の文と矛盾する。
前立腺がんはがんのなかでも治療法の種類が非常に多く、手っとり早く選択するには困難な面がある。しかも一般に進行の遅い前立腺がんでは、治療が数か月遅れても問題はおこらない。
したがって納得ができるリサーチをして、満足できる治療法を選ぶ時間的な余裕は十分にあり、あせって決める必要はまったくない。
更に次のP.89の文
現在では治療法を考えるとき、グリソンにくわえて、生検の本数のうち何本の針がガンにヒットしたかという、陽性本数(陽性率)も重視されるようになっている。
これは転移している? ..MSKCCの予測ツールを使うに示したようにあくまでもMSKCCの10,000人以上の患者のデータを元にしたものであるが、患者の現状を把握と今後の予測をするための情報として陽性率を使用している。しかし、藤野さんは陽性率に関しては以降、何も書いていない。


最も問題かと思うのはTMN分類に関して説明しながら、P.97には次のように書き、この本で一番問題であると思われるP.98の表題「悪性度による分類と治療法の目安」に続く。
TNM分類は複雑すぎて、一般人にはわかりにくいだろうから、本書では悪性度による分類を使用することにしたい。そのほうが治療法を考えるうえで便利だろう。
ここで宣言している。この分類は便利という観点でのもので医学的な根拠はまったくないものである。このような真実は今は分かるが、最初に読んだときには真剣に一覧をみて「目安」の治療法をみたものだ。
この目安という言葉もよく考えられた言葉だ。藤野さんはあくまでも市井の前立腺がん患者であり、小線源治療を受けた一般人が記載したもので、前立腺がん 治療の選択:[がん情報サービス]で書かれているような「標準治療」ではないということで一種の責任回避といえる。

文に間違いがありましたので、見え消しにしました。理由は藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その4-2を参照してください。

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