藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その3ー2 治療例の詳細よりみえてくるものがある

藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その3ー1で本に載せられている例を整理してみた。継続する。

3 Cさん
住所:東京都大田区
治療病院:昭和大学

・ 前立腺がん確定時(2004年9月)の年齢、病期など
年齢:76歳
PSA:180
グリーソンスコア:不明
病期:不明
陽性率:不明

2004年
9月 都内の大学病院で上記のようにPSA以外は特に担当医から説明はなくMAB療法を開始
2005年
4月 昭和大学 泌尿器科 深貝隆志准教授を受診
4月 ブラキ実施
10月 外部照射 リュープリンによるホルモン療法を継続
 3年たって、PSAが測定感度(0.008)以下にならないのでふつう3年で終了するのだが、ホルモン療法は継続
2009年
2月 PSA 0.008以下 担当医との話し合いでホルモン療法継続
2012年
治療から7年以上たった現在、84歳になったCさんは元気で日常生活を送っている


4 Dさん
住所:神奈川県横浜市
治療病院:昭和大学

・ 前立腺がん確定時(2005年6月)の年齢、病期など
年齢:79歳
PSA:75.5
グリーソンスコア:4+4
病期:不明 リンパ節転移、骨転移無し
陽性率:12/12

2005年
6月 近くの大学病院でMAB療法を開始(がん確定時は東京の大学病院)
12月 昭和大学の深貝准教授を受診
2006年
2月 ブラキ実施
3月 外部照射開始
   リュープリンによるホルモン治療を3年間継続 2009年4月終了

PSA 2006年6月 0.09 すぐに0.008の測定感度以下に下降
2012年 6年以上たった現在、85歳になったが、なんの身体的問題もなく元気で仕事をこなしている。

3 Eさん
住所:滋賀県長浜市
治療病院:滋賀医科大学

・ 前立腺がん確定時(2007年)の年齢、病期など
年齢:72歳
PSA:22.4
グリーソンスコア:4+4
病期:不明
陽性率:不明

2004年 PSA 6.2
2005年 PSA 7.63
2007年 PSA 14.75 生検を受けたががんは検出されなかった
 半年後 PSA 22.4 多部位生検実施 主に腹側に移行域にがんが広がっていた
12月 滋賀医科大 泌尿器科 岡本講師を受診 3ヵ月のホルモン療法を実施
2008年
2月末 ブラキ実施
5月 外部照射 25回 45Gy
8月 ホルモン療法 終了
2012年
9月 PSA 0.005

以上、長々と引用、紹介してきたが、いくつか気づいたことがある。
それは各例とも私の前立腺がん chronicleで表示したどのような症状であるかの数値が明記されていないことである。それはCさんのように「治療経緯の詳細が分からない」と書かれているのは仕方がないが、TNM分類は知らされていないにしても少なくともステージ分類は主治医からきいているはずで、P.99の表、「本書のリスク群分類と治療法の目安」には病期は特に規定していないことに関係しているのかもしれない。

すなわち、この5例すべて、T2aかあるいはT2bもしくはステージB1なのかもしれないと思われても否定はできない。

もうひとつは2012年本出版時のホルモン療法実施状況である。BさんCさんはまだ続行中の状態であり、PSAは制御されており、そのこと自体はいいことだが、この事例をもってトリモダリティが高リスクに対して有効であるという例としては十分とはいえない。

最後にDさんとEさんの例であるが、NCCNリスク分類でいうと高リスクで少なくともリスク因子2の場合である。昭和大学の場合は論文 1) があるので高リスクに占める割合が分かるが、滋賀医科大は現在では少なくとも私は論文の存在をしらないので知ることができない。


1) 森田將*1他 ハイリスク限局性前立腺がんに対するTrimodality therapyの治療成績 泌尿器外科 28(8): 1323 -1324 2015
*1昭和大学江東豊洲病院外科系診療センター泌尿器科

・2005年~2014年12月に小線源で治療した高リスク患者 すべての放射線治療終了から2年以上経過し、ホルモン療法が終了している95人が対象
・9年PSA非再発率
 92.0%
・高リスクの因子の数の患者の割合は以下のとおりである。
 2つ以上の高リスク因子 23.2%
 すべてが高リスク因子  5.3%


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