藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その3ー1 治療例の詳細

藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その1及び藤野邦夫『前立腺ガン 最善医療のすすめ』について その2で藤野さんの本について書いてきた。昨日、再度図書館より借りてきたので、継続する。
その前に用語の定義より
P.13
現在の放射線治療には、からだの外から照射する外部照射と、からだの内側から照射する内部照射があり、内部照射は小線源療法と呼ばれている。小線源療法にはまた、(1)LDR (low dose rate brachytherapy = 低線量率組織内照射法、一般にブラキセラピーと呼ばれる。以後、ブラキと略) (2)HDR (high dose rate brachytherapy = 高線量率組織内照射法)
P.14
以下に説明するトリモダリティとは、ホルモン療法+HDRかブラキ+外部照射+ホルモン療法という3つを併用する治療法のことである。
トリモダリティといっているが、HDRの場合3つの療法ではなく、2つである。ただし、「HDRを中心とするトリモダリティ」と題された文のP.277には「HDRだけを実施する施設もあるが、ホルモン療法と外部照射を併用するのが原則とされている」と書かれていて、上記の定義と異なるが、ホルモン療法の有無、外部照射の有無はあまり関係ない形でのトリモダリティという語の使用法なのかもしれない。

高リスクの前立腺がん患者10名の治療例が第1章に書かれている。ホルモン療法を受けた例、手術後の救済的放射線療法、ブラキの後の救済的小線源療法の例、TURPを受けていてブラキを受けた例、股関節に人工骨頭がはいっていた例の計5例を除き、どのように治療例を紹介しているか少し詳しくみてみる。以下、がん確定時の年齢、確定時の月などは本に明記されていない場合もあるが書かれていることがらからの推定である。

1 Aさん
住所:さいたま市見沼区
治療病院:東京慈恵医科大学

・ 前立腺がん確定時(2010年9月)の年齢、病期など

年齢:64歳
PSA:6.3
グリーソンスコア:8
病期:不明 画像検査では前立腺の右側のリンパ節に転移 すなわち N1
陽性率:2/6

2008年
PSAが4.6なので生検を実施 がん細胞はみつからず
3ヵ月毎のPSA検査を実施、PSAの変動がなかったので6か月毎

2009年
6月 PSA 5
9月 PSA 6.3 生検後、がん 確定 とりあえずホルモン療法を実施することになった。

2010年
1月 放医研に初診、2月再診 重粒子治療の対象ではないといわれた。
 元の主治医から「別の泌尿器に治療してもらいなさい」ということで知人を介し藤野さんと連絡がとれ、慈恵医大が紹介された。
3月 放射線科の青木学准教授の初診 治療法決定 HDRとIMRTとホルモン療法を併用するトリモダリティ すぐにリュープリンとカソデックスのホルモン療法を開始
7月 21日 入院 ホルモン療法 中止 3泊4日 22日と24時間後の23日 HDR実施 (線量は不明)
8月 8月4日~9月5日 1回 2Gy 25回 計 50Gy
9月 ホルモン療法再開 3か月毎 リュープリン

2012年 9月 PSA 0.01
ホルモン療法は2年間で終了

2 Bさん
住所:神奈川県秦野市
治療病院:東京慈恵医科大学

・ 前立腺がん確定時(2009年6月)の年齢、病期など
年齢:66歳
PSA:22.3
グリーソンスコア:4+3
病期:不明 当初、骨転移無しの診断だったが、最終的にはあり
陽性率:5/11

2009年
7月 骨シンチ 骨転移無し ホルモン療法 カソデックス
   別の大学病院 MRI 骨転移有 別の病院 造影CTでは明確な骨転移認められなかった  PSA 2.67
9月 カソデックスにあわせて3ヵ月に1回のリュープリン
12月 PSA 0.12
2010年
2月 骨シンチ 骨転移あり
5月 PSA 0.03
6月 4日 泌尿器科の三木健太講師の診察を受ける
  初診の日からMAB療法再開 カソデックス+3ヵ月毎のリュープリン
2011年  4月 放射線科の青木学准教授よりHDRの説明を受けた
4月 19日 翌20日、21日 2回にわたるHDRの治療 (線量 不明)
5月 16回の外部照射 (線量 不明) 
6月 上旬 外照射終了 2年間のリュープリン(3ヵ月に1回)を続ける予定 PSA 0.01
2012年
7月 PSA 0.02

長くなったので、一旦ここでの記述は終える。続きは3ー2として継続して書く。

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