「はじめに」に以下のように書いている。
ホームページ、東京医科大学ロボットセンターを立ち上げ、情報のサポートを試みていますが、これもインターネットに不慣れな方には難しいのが現状です。大堀氏のプロフィールをみると、大学は社会科学部を中退し、医学部に入ったようだ。大堀氏の本は『早期前立腺癌モノグラフ』ベクトル・コアを少し眺めたが、専門的な本で理解したとは言い難い。
そこで、患者さんやご家族に手をとってもらい、読み物として読んでもらうことがサポートになるのではなかと考え、この本を著すことになりました。
この著書を書いたときの肩書はMemorial Sloan Kettering Cancer Centerの前立腺診断センター副所長だった。
『前立腺がんは「ロボット手術」で完治を目指す!』をよんでみようと思ったのはロボット支援手術の詳細をしろうとしたわけではなく、米国での知見が多分、書かれていると思ってのことだ。そのことはある程度、果たされた。読んできになったことを紹介していく。
ノモグラムについて
P.64にはさりげなく、ご自身の経験を書き、ロボット手術を受けた600人のデータをもとに開発したノモグラムを使用していると書いている。
余談ですが、ノモグラムの発祥地は米国の、私がかつて留学していたベイラー医科大学とその後、スタッフとして働いたニューヨーク市のメモリアル・スロン・ケタリングがんセンターで、当時私もその開発に携わっていました。ノモグラムの説明
そうしたこともあって、当院では独自に開発したノモグラムを使用し、治療の参考にしていますが、残念なことに、日本全体を見渡してみると、あまり使われていないのが現状です。
P.63
治療方針を決める際に役立つものに、「ノモグラム(計算図表)」があります。これは特殊な数学モデルで、複数の臨床病理学的因子を総合して、がんの有無、湿潤、転移、再発などの予測リスクを算出し、1つの数値として示すツールです。すなわち、いくつかのデータを座標に入力することで、グラフ上から計算式に基づいた数値が得られるというものです。
ノモグラムの最大の利点は、複数の予後変数を組み合わせるため、単一のリスク因子による分類やステージ(病期)分類よりも、個々の患者さんについてより正確な予後予測が可能だということです。現在ある予測方法の中で、一番良い方法といえるでしょう。
米国では、前立腺がんと診断されたとき、患者さんは必ず「手術した場合、放射線治療をした場合、ホルモン治療をした場合、再発率はどのぐらいですか?」と、医師に数字を要求してきます。そのときに使われるのが、このノモグラムです。「これは1つの参考ですが、これをベースに考えてください」というわけです。
ロボット手術の割合
P.85読売新聞2015年2月1日朝刊の「主な医療機関の前立腺がん治療(2013年実績)」のデータをもとに治療法別上位病院をまとめ、サイトにアップした。東京医大の手術件数326がトップでそのほとんどがロボット手術であったこと、今さらながら、驚く。
なかでも米国では、なんと前立腺がん手術の約90%がロボット手術(2011年末時点)で、日本でも、前立腺がん手術に占めるロボット使用率は急速に伸びています。
東京医科大学では、2006年に日本で初めてダヴィンチを使った前立腺がんロボット手術を行いました。以来、実績は既に1500例以上に達し、2013年の1年間では、実施した全摘除計326例のうち、ロボット手術が322例を占めました。
入院期間
P.118
入院期間は、通常2週間。手術後に調子が悪くなり入院が延びることはほとんどありません。ちなみに、米国では1泊~2泊の短期入院が一般的ですが、これは日本とシステムがまったく違うためで、尿道に管(カテーテル)を入れたままでの退院です。日本の方は、おそらくこうした状態での退院を好まないと思いますが、術後の状態と患者さんの希望によっては、早期の退院も可能です。
米国は入院期間が短いときいていたが、日本と条件が違うことをはじめて知った。
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