その際、全国がんセンター協議会加盟の病院の治療成績による全がん協生存率をみいだした。この表によると、前立腺癌の場合、ステージⅣを除いて、5年生存率は100%である。これはがんの中では生存率が高いものであり、例えば、膵臓がんではステージIでも5年生存率は46.1%である。
この表をみたときの感想は、ああそうかというもので、直接自分自身に関係するものとしての実感はわかなかった。それは極めてまれな経直腸生検後の重症の敗血症となったことに関係している。
100%といえども、私は例外である可能性もあるのではないかという暗い予想である。
ちなみに生検後の敗血症の発生確率に関して、548施設で行われた前立腺生検 212,065件を対象として、経直腸生検では0.09%で、経会陰生検では0.007%という報告がある。 1)
もちろん、重症となる確率はこれより小さく、私は生還しえたので、case study として論文にまとめられた。初めて読んだ医学論文は私自身に関するものだった。
前立腺がんに関しては、outcomeとして生存率よりPSA非再発率に注目すべきということは上記のような生存率からもいえる。生存率では5年でほとんど差がでない。
例えば、IMRTの治療成績を報告した東北大学の武田賢氏の論文 2) によると、5年PSA非再発率は 中間リスク 100% 高リスク 82.2% であるが、5年原病生存率は中間リスク、高リスクとも100%である。
1) Kakehi Y et al. Int J Urol. 2008 Apr;15(4):319-21. 、full text
2) Takeda K et al. Radiat Oncol. 2012 Jul 6;7:105. 、full text
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